春にして君を離れ
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2018年4月の課題図書はアガサ・クリスティーの「春にして君を離れ」です。

■あらすじ
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

■著者
アガサ・クリスティー
1890年9月15日生まれ。イギリス生まれの推理作家。発表された推理小説の多くは世界的なベストセラーとなり「ミステリーの女王」と呼ばれた。英国推理作家のクラブであるディテクションクラブの第4代会長。本作を含め、メアリ・ウェストマコット (Mary Westmacott) 名義の小説が6作品ある。『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』『そして誰もいなくなった』など多くのミステリ作品を発表し、現代に至るまで多大な影響を与え続けている。

■特集
早川書房編集者と紐解く~アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』

■評価・感想

平均評価 4.4点 (2018年8月30日更新)
・人間性をするどく見つめるクリスティの非ミステリー小説。考古学者の夫と共にアフリカや中東へ実際に旅をした経験が生きています。男性なら歴史や自然や哲学に目が行くことでしょう。リアルな自己の内面へと向かうという切り口が新鮮です。それもエッセイという形ではなく、ドラマティックな小説に作り上げてしまうなんて。クリスティの才能を見せつけられた気がします。
・過去にも他人からの忠告はたくさんあったはずなのにすべて自分の都合の良いようにしか解釈せず問題に正面から向き合ってこなかったのだから自業自得とはいえ、この先の彼女の人生が気の毒で仕方ありません。でもせっかくの気付きを無駄にして、また同じ選択をしたのですからどうしようもない・・・夫も夫だ、と思わなくもないですが、でもロドニーもきっと今まで多くの助言をしてきた上で、あきらめの境地に至ったのだろうな、と思わずにはいられません。だって、いくら夫婦とはいえ、他人の心を変える事は相当に困難ですから。
・悟り切れない人間の哀しさ。子供たちは離れるだけで、乗り越えることができていない。ロドニーはレスリーに憧れていた(愛ではないと思う)。一番悟っていたのは、レスリーだったんじゃないかな。悟った人への憧れ。悟った人はすっきり明るく生きるのです。見方によっては、小説はみんな悲劇です。「この世は苦」をまざまざと見せてくれる。でも、それを学びにして幸福への道を歩きたいと思います。自分を静かにじっくりと見つめる時間をもった方がいい。慈悲の心を育てた方がいいと思います。苦だけど無常。久しぶりに一気読み。名作です。
・救いは結局ジョーンのみならず、夫ロドニーや子供たちも彼女と向き合う勇気がなかったことかな。彼女だけのせいではない。そう考えているうちに、影の主役はレスリーではと思ったりも。女性向けの本何でしょうか。その辺はわかりませんが、夢中になり一気読みでした!

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■商品情報
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