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小説を越え、文化を輸入

―― 早川書房さんと言えばSFやミステリ小説を扱う出版社といたイメージがあります。
そもそも、こうしたジャンルを扱うきっかけ・経緯を教えて下さい。

元々は、演劇の出版(昭和22年に演劇雑誌「悲劇喜劇」を創刊)からスタートしました。ただ、演劇自体はそもそも商業ベースには中々のらないのも事実です。そのような状況で、SF・ミステリが推理小説・空想科学小説と呼ばれていた時代、ペーパーバック(※)の体裁そのままで海外のSF・ミステリ小説の翻訳・出版を開始しました。戦後直後ですので、海外の最新エンターテイメントの輸入という形で新鮮に捉えられたのかもしれませんが、これまで多くの読者の方々に支えられてきました。

池井戸潤氏、宮部みゆき氏、恩田陸氏などの現在活躍中の多くの作家も、若い頃に海外のミステリ・SFをいろいろと読んだとコメントされていらっしゃいます。

※ペーパーバックとは、安価な紙に印刷し、製本も簡易的に行いコストを抑え、低価格で販売される本。

最新の『ハヤカワ・ポケット・ミステリ・シリーズ』は、「ガラスの鍵」賞、デンマーク推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞受賞作を受賞した、デンマーク人作家リール・エーネの「樹脂」です。

最新の『ハヤカワ・SF・シリーズ』は、英国SF協会賞&ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作した、アダム・ロバーツの「ジャック・グラス伝」です。

 

文学賞を通じた小説家発掘

―― 早川書房グループではハヤカワSFコンテストやアガサ・クリスティー賞を毎年開催されています。こうした賞をとって育っていかれた小説家をご紹介いただけますか。

SF作家の御三家と呼ばれる小松左京氏は、ハヤカワ・SFコンテストの前身・1回空想科学小説コンテスト(1961年)の入選から小説家の道を歩んでいます。SF作家として初めて直木賞を受賞した半村良氏は、2回ハヤカワ・SFコンテスト(1962年)に入選しています。(※直木賞は人情小説「雨やどり」で受賞)。また、現在も活躍中の筒井康隆氏もSFコンテストの出身です。

第1回アガサ・クリスティ賞を受賞した森晶麿(もり・あきまろ)氏は、受賞作「黒猫の遊歩あるいは美学講義」がシリーズ化されており、通称「黒猫」と称される若き大学教授と研究生が謎解きをするというミステリが人気を博しています。

今年の5回ハヤカワSFコンテストは、津久井五月氏の「コルヌトピア」、樋口恭介氏の「構造素子」、7回アガサ・クリスティー賞は村木美涼氏の「窓から見える最初のもの」がそれぞれ大賞を受賞しています。詳細は順次早川書房HP(http://www.hayakawa-online.co.jp/new/index.html)や「SFマガジン」「ミステリマガジン」にて掲載予定です。


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