タイタンの妖女、SF・ミステリの魅力

Pocket

早川書房が語る

タイタンの妖女、SF・ミステリの魅力

今月の課題図書は「タイタンの妖女」です。長年SF・ミステリ小説を出版し、多くのファンを魅了し続けている(株)早川書房の執行役員・小暮様、ミステリマガジン編集長の清水様にお話を伺いました。

タイタンの妖女の魅力に迫る

―― 読書ログ会員のレビューには、『なんで生きてるの?運命って何?偶然て何?人生の意味って何?』といった根源的な問いを自分に問うことができます。(会員『あさ・くら』さん)といった感想がありました。
早川書房さんが考える、この本のオススメのポイントを教えて下さい。

ヴォネガットの作品では、小説の外枠を読むのももちろん大事ですが、外枠を追っていこうとするとうまくストーリーを追えないこともあるし、実際に難解といったコメントもあります。まさにレビューに書いてある通り、『人間』というところを頭において読むと奥にあるものが見えてくるのではないでしょうか。ヴォネガットの根源には「人間に対する優しい眼差し」が流れていると思います。シニカルに書いていようが、悲観的であろうが楽観的であろうが、人間に対する眼差しが特徴だと思いますので、ストーリーがわからなくても心に残るのだと思います。

また、ヴォネガット氏は米国で元々ペーパーバックで出ていた作者で「タイタンの妖女」もそうです。それがのちに学生たちの間で読まれ始めて名前が出て来始めて有名になりました。読者が再発見して有名になった作者とも言えますね。

奇想天外・ヴォネガット

ヴォネガット攻略のポイントとしては、人間に対する眼差しもそうですが、「名セリフ」が満載です。アンダーラインを引いてみたり、付箋を貼ったりして、あとで読み返す時に、「あっ、心に残った言葉なんだ」と感じながら読める作家です。ストーリーがわからなくても、そんな読み方もできますね。

ヴォネガットが亡くなった時に、「SFマガジン(2007年9月号)」で追悼特集を組み、文芸評論家の牧眞司氏が選ぶ名セリフ集を掲載しました。「タイタンの妖女」からは、【勝利はすべて組織力の問題だ。もし、天使というようなものが存在するなら、せめてマフィア程度の組織力は持ってもらいたい】という、ウインストン・ナイルス・ラムファードの言葉も紹介されています。

ヴォネガット作品を一言で表現するとまさに『奇想天外』です。名作を挙げればキリがないのですが、「猫のゆりかご」も非常におすすめです。


【次ページ】SFは絵である >>