遅筆堂文庫からの便り
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遅筆堂文庫からの便り

~井上ひさしの故郷~

8月の課題図書は『父と暮せば』です。既に読んだ、という会員の方は多いのではないでしょうか。また、映画『父と暮せば(2004年公開)』は忠実に本を再現しており、映画ログ会員にも是非楽しんでいただきたい作品です。

今回は、遅筆堂文庫遠藤敦子さん井上ひさし氏の故郷である山形県の川西町(かわにしまち)についてその魅力を教えて頂きました。

井上ひさしさんのふるさと―山形県川西町

井上作品の中には戦争の不条理さ、残酷さを民衆の側から描いた作品が数多くあります。

なかでも何度も再演され、海外公演もされ、多くの言語に翻訳されているのが『父と暮せば』です。井上さんは「‘あの時の広島で死ぬのが自然で生き残るのが不自然だった。だからこうして生きているのが申し訳ない’とおっしゃる被爆者の方がたの言葉に大変な衝撃を受けた。わたしも戦争の時代の子どもですから、戦争を知っていると思い込んでいましたが、私の知っているのは戦争なんてものじゃなかったのだと痛切に思い知らされました」と言っています。この想いがこの作品に向かわせました。

井上さんはここ川西町(旧小松町)の国民学校(小学)5年生のときに終戦を迎えています。終戦を境に一変してしまった社会に少なからず疑問を持ち、いつも弱者側からものをみつめ続けた井上ひさしさんの思考の原点がここにあります。

川西町は、山形県南部の米沢市に隣接した町です。明治時代に日本を旅したイギリスの女性冒険家イザベラ・バードはこの地を「東洋のアルカディア」とよびました。四季がはっきりしている自然環境は豊かな農産物を産みます。お米、米沢牛などは全国に名を馳せる産物です。また、町内にあるダリヤ園は夏から晩秋にかけて650種10万本の花が咲き誇ります。冬には1メートルを超す積雪となる厳しい一面をもつ環境にありますが、そのことが豊かな産物を産み、心豊かな人をも育てました。井上ひさしさんはそんな故郷に生まれ育った比類なき作家です。

米沢牛すき焼きと清酒「虎髭」。「トラヒゲ」の名前は井上ひさし氏のひょっこりひょうたん島の海賊から。

 

~遅筆堂文庫 遠藤敦子さんより~

遅筆堂文庫とは

遅筆堂文庫は、1987年(昭和62年)に川西町出身の作家・劇作家 井上ひさし氏から寄贈された蔵書7万冊をもとに開設され、その後、劇場と川西町立図書館を併設した複合文化施設「川西町フレンドリープラザ」として運営されています。井上蔵書は最終的には22万冊を超す文庫となりました。

遅筆堂は、「遅筆でも良い作品を書きたい」という井上ひさし氏の号であり、それをそのまま、文庫の名称に冠しています。

遅筆堂文庫HP  http://www.plaza-books.jp/chihitsudo.html

図書館内にそびえ立つ円柱本棚「本の樹(き)」

井上さんの芝居を上演できる演劇に適したホールとして誕生した劇場

 

 


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