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朗読会「ソフィアの森ボイスアカデミー」を主宰されている斉藤ゆき子さん(NHKドラマ「この声をきみに」の朗読を指導)の取材記事は、多くの読書ファンの関心を集めました。今回は、2/25(日)に「朗読スタジオ」の発表公演を開催される水戸芸術館ACM劇場の学芸員宮本さんにお話を伺いました。

水戸芸術館ACM劇場「朗読スタジオ」とは

―― 「朗読スタジオ」発足のいきさつについて教えて下さい。

「朗読スタジオ」は、2013年に開校し今期で5期目となる水戸芸術館ACM劇場が企画主催している教育プログラムのひとつです。昨年まで芸術監督を務めていた高橋知伽江氏(翻訳家/戯曲家『アナと雪の女王』の日本語歌詞で皆さんご存知かと思います。)が芸術監督就任時(2013年)に「よりACM劇場を水戸市民の皆様に親しみを持って楽しんでいただくため、市民の皆さんが参加できるスクールを創りたい」と3つのスクール(「朗読スタジオ」「ソング&ダンスクラス」「水戸子どもミュージカルスクール」)を企画し、誕生いたしました。

「朗読スタジオ」は、劇場が開く朗読講座である以上”演劇的な”朗読を楽しんで学んでいただきたい、という思いから、日本を代表する俳優で演出家、そして朗読の第一人者で朗読を舞台芸術の域にまで高めた『詠(よ)み芝居』を考案し、劇団活動を展開している壤晴彦氏に講師を依頼し、現在も継続してご教授いただいております。

国内外を問わず、数々の舞台でつちかってきた講師の経験と技術で、発声から朗読に対峙する心得、古今東西の名作を元に実践レッスンを行い、約9か月後にACM劇場の舞台で、仲間と共に朗読することに挑戦していただいております。

*プロフィール

講師:壤 晴彦 / じょう はるひこ

俳優・演出家・演劇倶楽部『座』代表 / NPO日本朗読文化協会顧問

狂言大蔵流、茂山千五郎師(現千作・人間国宝)に師事。その後「劇団四季」正劇団員を経てフリー。蜷川幸雄演出・三島由紀夫作・近代能楽集「卒塔婆小町」(90年イギリス・エディンバラ国際演劇祭批評家賞を受賞)、 蜷川幸雄演出同・シェイクスピア作「テンペスト」 (88年エディンバラ国際演劇祭、92年ロンドン・バービカンセンター)等に主演。深い洞察力に裏打ちされた明晰な台詞には定評がある。また、「ザ・ロッキーホラーショウ」などミュージカル出演も多い。自身が主宰する演劇倶楽部『座』では定期公演に演出・出演をしながら後進の育成にあたっている。日本を代表する演劇人の一人である。

声優としても「ライオンキング」「バグズライフ」「アナスタシア」「24」「パイレーツ・オブ・カリビアン」などで活躍中。

NHK大河ドラマ・NHK朝の連続テレビ小説演技コーチを歴任し、大阪芸術大学講師、NPO日本朗読文化協会朗読教室、など演技指導者としても評価が高い。

企画者:高橋知伽江 / たかはし ちかえ

東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒。劇団四季での勤務を経て、フリーランスで演劇台本の執筆、翻訳、訳詞を手がける。2013年4月~2017年3月まで、水戸芸術館演劇部門芸術監督。日本劇作家協会会員。第四回 小田島雄志・翻訳戯曲賞受賞(「出番を待ちながら」「秘密はうたう」)第23回読売演劇大賞優秀スタッフ賞受賞(劇団四季『アラジン』の訳詞)

<主な執筆台本>
音楽朗読劇『モリー先生との火曜日』(脚色)(吉原光夫 土居裕子 光枝明彦 他)
劇団往来オリジナル・ミュージカル『チンチン電車と女学生』(平成22年度大阪文化祭賞奨励賞)
わらび座製作オリジナル・ミュージカル『鶴姫伝説』『カンアミ伝』『誓いのコイン』
出雲大社・平成の大遷宮記念事業オリジナル・ミュージカル『クシナダとスサノオ』
水戸芸術館ファミリーシアター『大どろぼうホッツェンプロッツ』『ルドルフとイッパイアッテナ』
水戸芸術館ACM劇場 未来サポートプロジェクト 音楽劇『夜のピクニック』他多数

<主な翻訳作品>
劇団四季『クレイジー・フォー・ユー』(翻訳・和田誠氏と共同訳詞)
劇団四季『アラジン』(訳詞), 『ノートルダムの鐘』(日本語台本・訳詞)
ホリプロ『リトル・ナイト・ミュージック』(麻実れい 他)
CX『NEVER GONNA DANCE』(V6 坂本昌行 他)
水戸芸術館ACM劇場『スワン』(一路真輝、大澄賢也 他)
富山オーバード・ホール『ショウ・ボート』(剣幸、土居裕子、浜畑賢吉 他)他多数

<その他>
NHK-FMラジオドラマ 音楽朗読劇『モリー先生との火曜日』
NHK広島放送局開局80年記念ドラマ『放送を続けよ』脚本(平成20年文化庁芸術祭ラジオ部門大賞受賞)
ディズニーアニメ映画『魔法にかけられて』『プリンセスと魔法のキス』『塔の上のラプンツェル』『メリダとおそろしの森』『アナと雪の女王』訳詞
その他、ディズニーホームビデオ、ディズニーチャンネルの番組挿入歌などの訳詞多数

高校生から80代まで幅広い参加者!

―― 「朗読スタジオ」の魅力を教えてください。

やはりいちばんは、地元にいながら朗読の第一人者である壤晴彦氏に直接ご指導いただけることだと思います。壤先生もこの5年間の水戸通いで水戸が大好きでいらっしゃいます。先生は、とても情熱のある方なので、プロアマ関係なく、ひとりひとりに熱心にアドバイスを下さいます。しかも、教材も毎回、壤先生が受講生の皆さんに会ってから、どのような教材をつかって楽しんでいただくか考えてくださっています。初めて出会う作品はもちろん、なんとなく知っているけれど、しっかり読んだことがなかった名作たちに出会えることも魅力のひとつだと思います。

また、高校生から80代までの年齢、性別、職業も異なる方々と朗読を通して交流できることも魅力だと思います。この「朗読スタジオ」で出逢った方々がチームを作って、地域で朗読会や読み聞かせの会を開催されたりしています。「このクラスが生きがいです!」とおっしゃって下さる方も多く、そのたびに、私たちも元気を頂いています。

自信をつけた顔つきに変化する生徒

――「朗読スタジオ」に参加されたことによって生徒さんにはどのような変化があったのでしょうか?

壤先生は「朗読は愛の行為だ」とよくおっしゃいます。

私たちがよい作品に出逢い心を打たれる、そして、その思いや魂を誰かと分け合いたくなる、その自然の衝動が朗読の原点であるとお教えになっています。ですので、このクラスでは、「お客様に伝えるところまでが朗読だ」という考えから、必ず発表公演をしています。
感動をお客様に伝えるための技術はもちろん大切ですが、受講生の皆さんには、何よりもまず作品に描かれた情景や心情に感応できる柔軟な心を持つことが大切だ、とお伝えしています。当初は技術を取得したいと思い受講される方も、その原点に気がつくことがいちばんの変化ではないか、と感じています。

発表公演の様子

また、とても緊張されていたり、人前で話すのが苦手だったりされる方も、このクラスで出逢った作品の中にある「魂」に助けられ、「それを伝えたい」という思いを劇場での発表公演で発揮することで、とても自信をつけた顔つきと声になられます。壤先生も私もいつもその姿に感動しています。

さらに、受講生の皆さんは、劇場で開催されている落語や狂言、演劇などを本当に熱心にご覧になられるようになります。「芸」の技術を学びたいという向上心はもちろん、「伝える」経験をしたからこそ、観客の立場になっても感じることがたくさんあって、劇場で観劇をするのが楽しくなった、とおっしゃっています。

人気作は『絵のない絵本』『御伽草子』など

―― 朗読には対象となるストーリーも重要です。観客の方々に人気の物語があれば教えて下さい。

毎回、受講生の方の雰囲気や季節などに合わせて先生と教材を選んでおりますので、まったく同じ演目を発表したことがないため、お答えが難しいですが、お客様アンケートで好評だったのは アンデルセンの『絵のない絵本』、太宰治の『御伽草子』より『カチカチ山』『舌切り雀』O.ヘンリーの『賢者の贈り物』や『最後のひと葉』などです。

 

 

 

文学を通した、心の交流

―― ズバリ、朗読の魅力とは何でしょうか?

壤先生のお言葉、「朗読は愛の行為だ」にすべてが詰まっていると思います。私たちがよい作品に出逢い心を打たれる、そして、その思いや魂を誰かと分け合いたくなる、その自然の衝動が朗読の原点。文学を通した、心の交流が最大の魅力だと思います。

日本を代表する演劇人・壤晴彦氏の熱心な指導が生徒の心に響く

読書ログ会員の皆さんへ

私どもの「朗読スタジオ」では、日本語の作品の素晴らしさを朗読を通して伝えることを学んでいただいております。読書ログを見て、これからもっともっと素敵な作品に出逢っていきたく思っておりますので、「この作品は声に出して伝えてほしい」というものございましたら、ぜひご教授くださいませ。

取材:水戸芸術館ACM劇場 担当学芸員 宮本晶子様


イベント情報

平成29年度「朗読スタジオ」発表公演『声のギャラリー』

2018年2月25日[日]

水戸芸術館ACM劇場

演出:壤 晴彦
出演:朗読スタジオ受講生69名、壤 晴彦、森 一馬

[午前の部] 11:00開演
[午後の部] 15:00開演

【全席指定】入れ替え制:各回500円
チケット取扱い
水戸芸術館(9:30~18:00/月曜休館)
エントランスホール内チケットカウンター
チケット予約センター TEL.029-225-3555

詳細は公式HPをご確認ください。

今回の見所

今回は、平安時代から昭和までの我が国に伝わる美しい文章やお芝居の台詞をお客様ごと一緒に味わいたいと思っています。
平安時代からは『古今集』から仮名序と和歌、『枕草子』、『今昔物語』を。面白い現代語訳など、趣向こらしてご紹介します。
鎌倉期の『平家物語』から「那須の語り」、室町期の「能・狂言」からは『狂言 附子(ぶす)』、江戸時代から明治にかけて歌舞伎文化から、『与話情浮名横櫛(よはなさけうきなのよこくし)』より「源氏店(げんやだな)」、『三人吉三(さんにんきちさ)廓初買(くるわのはつがい)』より「大川端庚申塚の場」、『辨天娘女男白波(べんてんむすめめおのしらなみ)』、明治時代文学から泉鏡花作『婦系図(おんなけいず)』より「湯島境内の場」、伊藤左千夫作『野菊の墓』、新派、新国劇のジャンルから『国定忠治』『月形半平太』『夕鶴』

以上の作品を一部抜粋したアラカルト形式で案内の語りを交えながら、受講生の朗読でお聴かせいたします。ラストは、講師の朗読がございます。長谷川伸の作品から『瞼の母』を壤晴彦先生と森一馬先生が熱演致します。お楽しみに。

 

 


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