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今回は、9/8から11/17までNHK総合「ドラマ10」にて放送された竹野内豊さん主演『この声をきみに』で朗読指導を担当され、「ソフィアの森ボイスアカデミー」を主宰されている斉藤ゆき子さんにお話を伺いました。

―――NHKドラマ「この声をきみに」で斉藤先生が朗読指導をなさっていますね

ドラマのモデルにもなっている朗読教室の皆さん

ありがたい機会を頂き本当に感謝でした。朗読のシーンの収録には全て立ち会わせていただきましたが、朗読の表現はお芝居と違いがあるので、その点においてはアドバイスをさせていただきました。オンエアーを見て映像と音楽と朗読が一つになり、感動することが多く毎回自然に涙が溢れてきて仕方ありませんでした。ドラマでは、私の主宰する朗読教室「ソフィアの森ボイスアカデミー」の数名のメンバーがモデルになっています。ドラマと同じ老若男女、年齢も職業も様々でも、朗読を通してみんな仲が良く、ポジティブな気持ちに変わる方も実際多くいらっしゃいます。

―――朗読を通じて「読書の質」は変わるのではないでしょうか?

朗読を習い始めると、どのみなさんも、それまで以上に本を読むようになります。興味のある本、好きな作家の本、新刊を読むという日常から、聴き手を感動させたい、喜んでもらいたい、そのためには何を読んだらいいか、という視点に変わるからです。そういう意味で「読書の質」は変わるかもしれません。例えば、以前は本を全く読まなかったのに、今では図書館通いをし、自分に合う本を懸命に探す方もいるほどですから。朗読とは聴き手に伝わるよう、表現に工夫して読むことを言います。つまり聴き手の想像の翼が広がるよう技術を駆使していくものなので、今の自分のスキルに合う本に巡り会うことも重要なポイントになってきます。

―――朗読を始めたきっかけを教えて下さい

高校時代、NHK主催の朗読コンテストに出場したのがきっかけでした。大学を卒業し、テレビ局を経て声優の事務所に入りましたが仕事が全くありませんでした。数年後、フリーアナウンサーとなり司会、ナレーション、リポーターなどあらゆる声の仕事を経験しました。
その後、結婚、二人の子どもを出産。30代後半になりナレーター事務所に所属することができ、CMのナレーションやテレビ番組のナレーションを中心に活動してまいりました。
朗読教室を始めたのは、東日本大震災がきっかけです。みんなの気持ちが沈んでいた時、
私の持っている「話す技術」や「朗読」のスキルで貢献できないだろうかという気持ちになり、思い切って教室を開講しました。

―――斉藤先生が理想とする朗読とはどの様なものなのでしょうか?

若い方にも朗読を広めたいと笑顔で語る斉藤先生

人々に喜びを与えるもの、その一言に尽きます。私は、若い年代層に広げていきたいと思っています。高齢者の方の生涯学習、俳優さん、アナウンサーがやるものと考えている方も依然として多いですね。またドラマのように群読をしたり、朗読劇をしたり自由にもっと楽しんでいけるものであって欲しいです。また朗読には素人もプロもありません。素人だからこそいい味を出す方は沢山いらっしゃいますので。

―――朗読教室の生徒さん達は元気でイキイキとしていらっしゃいますね

メンバーに垣根がなく協力し合う姿が印象的

朗読を始めて、元気になってくる方をこれまで数多く見てきました。先日、朗読短期ワークショップを開催した際には、15名の方が参加してくださいました。最後のおさらい回ではどの方も自信がついて、目の輝きが変わってこられ、これからは人のために朗読したいという意欲が湧いたというお声を多くいただきました。
基本的に、私はその人の良いところを見つけ出し、ほめることをモットーとしています。
そこから自己肯定感が生まれ元気になっていくのではないでしょうか。

―――演技が出来る方は朗読が自然と出来るのではないでしょうか?

そうとは限らないと思います。もちろんセリフなどは演技ができる方は得意とされるでしょうが、作品の真意を伝えるための地の文は、専門的な技術が必要となります。また感情を込めすぎの朗読は、聴き手が本来自由に想像すべきところを遮ってしまう形ともなり、またその逆もあるため、しっかりとした朗読稽古が必要となります。

―――朗読するとはどういうことなのでしょうか?

朗読技術も丁寧に指導

朗読は読み手と聴き手のコミュニケーションだと思っています。独りよがりや酔いしれた読みはご法度。では何を読めばいいか、という質問を多くいただきます。小説や短編集に限らず、絵本や童話、エッセイでもいい、その中で「声に出して読んでみたい」「感動したから皆と共有したい」そう思えた作品を、まずしっかり読み込んでいくことから始めてください、とお伝えしています。何回も黙読をして、作家は何を伝えようとしているか理解できるまで、作品にとことん向き合っていきます。その後、朗読の技術である、間や強調、速度、フレーズを、息をうまく使いながら、伝わる読みへと完成させていきます。ある程度読めるようになったら身近な人に聞いてもらいましょう。容赦なく指摘してくれる存在は、その時は耳に痛いですが確実に自分を成長させてくれます。どなたも最初は、早口になりがちなので聴き手を意識しながら読むことが何より大事だと思います。自分本位ではない、相手本位ということですね。

―――斉藤先生がお好きな本や作家を教えて下さい

朗読でいうと宮沢賢治の作品は、自分の中で確立したいです。難しくてよくわからなかったが、私の朗読で理解できたと思ってもらいたいですね。将来的には賢治をライフワークにしていきたいと思っております。普段の読書は、湊かなえさん重松清さん小川洋子さん江國香織さん原田マハさんなど、他、話し方や声に関する実用本でしょうか。

注文の多い料理店

斉藤先生がライフワークにしたいと語る宮沢賢治作品より。短編集として、「注文の多い料理店」はじめ9作品が収録されており、中でも「注文の多い料理店」は童話としても非常に人気が高い、まさに賢治の代表作品。読書ログでも2014年3月の課題図書として紹介しています。

人質の朗読会

反政府ゲリラの襲撃を受けて、日本人旅行者と添乗員8人が人質になった。彼らは3か月余り後に死亡し、2年後に盗聴された録音テープが公開されたが、そこには心に残っている出来事を物語として書き起こし、各人が朗読する声が収められていた――。第9回本屋大賞で5位にランクインし、WOWOWにてテレビドラマ化もされた小川洋子さんの人気作。


斉藤先生の透き通るような声と、朗読教室の皆さまの素敵な声でとても感動しました。それはきっと、聴き手を意識して読む、喜んでもらえる本を選ぶなど、皆さんが相手本位で取り組むからこそなのかもしれません。先生が朗読会を始めたきっかけも、元気にしたいという想い。世のため、人のために、一生懸命取り組むと、まわりまわって自分も幸せになれる。先生や皆さんと触れ合い、目の当たりにしたように感じます。朗読という世界は、人生を豊かにしてくれるものだと思いました。

斉藤先生!今後も、多くの人たちに朗読の魅力を伝えていって下さい。応援しています!

【ソフィアの森 ボイスアカデミー HPはこちら】https://www.sofianomori.com/

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